冗談は顔だけのつもりだ

そうさ100%現実

【ひとりごと】「私の意見を推しに聞いてほしい」というオタクの思考が1mmも理解できなくて、秋

 「やさしい」と「おせっかい」は違うし、「アドバイス」と「リクエスト」も違う。他人に対してなにか意見する時、「やさしいアドバイス」は有り難がられるだろうけど、「おせっかいなアドバイス」とか「やさしいリクエスト」は、必ずしも有難いとは感じられないと思う。自分がこれらをもらったら、と考えれば、少なくとも私は、「おせっかいなアドバイス」も「やさしいリクエスト」もうれしくない。

 なんでこんな話をしてるかというと、オタクは「おせっかいなアドバイス」とか「やさしいリクエスト」を「やさしいアドバイス」だと勘違いしている節があると感じたからだ。「おせっかいなアドバイス」や「やさしいリクエスト」をしたことで優越感に浸ったオタクたちは、知らずのうちに界隈に大嵐を呼び込み、それでいて被害者ぶる。ああ、迷惑。台風の次ぐらいに迷惑。早く温帯低気圧になって消えておくれ。

 

 まずもって、“好き”で応援しているはずのコンテンツや推しに「アドバイス」したくなった時点で、純粋な“好き”から一歩遠ざかってしまったことを自覚してほしい。100%好きで楽しかったら、「こうしたほうが良いのでは?」という考えはなかなか浮かんでこないはず。自分の中になにか納得いかないことが起こったとき、人はまず、相手のことを思って「アドバイス」という方法で意見をしたくなる。

 ただ、コンテンツや推しはあなただけのものではない。あなたが感じた不満を、たとえ「やさしいアドバイス」の形で伝えたとしても、思い通りにしてくれる可能性は限りなくゼロに近いと思った方がいい。なぜかといえば、それは“ビジネス”だからだ。アイドルだって俳優だってアーティストだってアニメだってマンガだってゲームだって、全部コンテンツを作って金を儲ける“ビジネス”。あなたの気持ちに寄り添ってくれる慈善事業じゃない。金を生むプロと芸事や技術のプロが集まって考えた“ビジネス”だ。

 市場が大きくなれば大きくなるほど、オタク一個人の意見など聞いてくれない。そりゃ当たり前だ。大人数を相手にしないと、ビジネスは成り立たない。1人1人の意見を聞いて改善して……を続けていたら、あなたは満足するかもしれないが、ビジネスは停滞してしまう。長い期間金を生まない状態が続けば、コンテンツは簡単に消えて無くなる。

 

 だけど、物分かりの悪いオタクってのは、この世に掃いて捨てるほどいる。自分の推しが、自分の好きなゲーム会社が、自分の意見を聞き入れてくれると信じて疑わないオタクは、「もっとこうすればよくなるのに、どうしてそれをしようとしないのか?」と、自分の思い通りに動くよう「リクエスト」をし始める。もう「アドバイス」ではない。衰退している(ように見えている)コンテンツの心配をしているフリをして、「自分がこうしてほしい」と主張するだけの、自分のための「リクエスト」だ。「わがまま」と言ってもいいかもしれない。

 この時点で、100%の“好き”でなくなっていることは確実。もちろん、常に100%好きでいろと言っているわけじゃないし、そんなことは無理だと思う。けど、“気に入らない”という思いが濃くなっているコンテンツに時間と金を使うことが、オタクとして幸せなのかというと、私は絶対にそう思わない。たとえ“気に入らない”ことがあっても、雑誌のグラビアが好みだったり、ブログが更新されたり、そういう小さいことで“好き”の濃度が上回れば、オタクとしてはまだ健康。現場に行っても楽しめなかったり、一挙一動に目を光らせないと不安だったり、そうなってしまったら、はっきり言ってオタクとしては潮時だ。

 

 「潮時」だと感じた時に勘違いしちゃいけないのは、そう感じた時点で、あなたが好きだったコンテンツからは、すでに相手にされていないということだ。「こうしてほしい」という思いが伝わらなかった時、あなたはすでにコンテンツの顧客ではない。あなたがコンテンツを見切る前に、コンテンツから見切られていることに気が付いてほしい。相手にされなくて当然だ。

 何度も言うが、アイドルだって俳優だってアーティストだってアニメだってマンガだってゲームだって、全部コンテンツを作って金を儲ける“ビジネス”だ。行き過ぎてもはやアンチと化したオタクのご機嫌を取るよりも、新しい顧客を取り入れていったほうがコスパがいい。「おせっかい」で「リクエスト」しかしないオタクよりも、ニコニコしながら金を落とすオタクを大切にしたいのは、どこの界隈だって同じはずだ。

 オタクは義務じゃない。あなたがオタクを辞めたって、残念ながら推しは仕事を辞めないし、コンテンツはこれからも続いていく。「しんどい」「つらい」という被害者意識に酔ってるオタク、本当にカッコわるいよ。「オタクが甘いから推しが成長しない」と嘆いているオタク、それならそれでいいじゃない? 成長しない推しと“お花畑”なオタクが一緒に倒れていくところを見たら、きっとあなたの気持ちも晴れるよ。時間と金は有限なんだから、嫌なことを続ける必要なんてない。解放されていいんだよ。

 

 そしてコンテンツを純粋に楽しんでいるオタクたちは、顧客ではないオタクに気を揉む必要はない。彼らがなにを言おうと、すでに関係ないことだから。マイナス意見を見聞きして落ち込んだら、アンチの思うツボ。我々の時間と金だって有限なんだから、彼らに目を向けるヒマがあったら、推しに貢ぐためによく働き、チケット運を上げるために徳を積み、現場のために自分を手入れしたほうが、よっぽどいいオタク人生になるでしょ? 私たちは争う必要などない。それぞれ別の場所で生きればいいだけの、簡単な話。

 

 オタクのいいところって、好きなものを自由に選んで楽しめるところだと思ってるので、これからもその時の自分の気持ちに正直に、推したいものを推し、手を引く時は静かに潔く。そういうオタクでありたいと思った、秋の夜長です。(現在午前3時)(これはもう朝だね)