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【映画】現代人の“教材”にもなるジャンルごった煮エンタメ映画「 #スマホを落としただけなのに 」

 去る10月8日、都内で行われた「スマホを落としただけなのに」完成披露試写会に参加してまいりました。応募数1万1千人に対して当選者は300人だったと聞いて、「向こう5年分ぐらいの運を使ったな」と思いました。しばらくは宝くじ買っても当たらないだろうから、マジメに働こうな、私。

 そんな「しばらく宝くじ買っても当たんない300人」に託された使命といえば、全国公開の11月2日までにこの映画をいろんな人にオススメして、劇場に足を運ぶ人を増やすこと、そして「スマホ落としたことないから大丈夫!」「スマホ落としても戻ってきたから問題ないでしょ?」とか言ってる人を怖い目に合わせることですよね?(私が勝手に決めました)

 つうことで、以下初見の感想をつらつらと書いていきやす。(ネタバレには極力配慮しますが、気になる人は読むの控えてね! どうか自己責任でね!)

 

 

 あらすじはぜひ公式サイトからご覧くださいませ。

 ※個人的には、「プロダクションノート」のページは鑑賞後に見ることをオススメするよ! ネタバレっぽいこと書いてある気がするよ! 大丈夫なのかなこれは⁉︎

sumaho-otoshita.jp

 

 ストーリーについては公式サイトを見ていただき、こっから感想行きますよ〜。ネタバレ気になる人は読まないでね!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中田監督といえば、私も含め結構な割合の人が「リング」の監督&ホラー作品が得意な監督ってイメージがあるのではと思うんですが、最近の中田監督、ガッチガチのホラーはやってないんですよね。ドラマ「屋根裏の恋人」はある意味ホラーでしたけど(おもしろかったので、未見の方はぜひ)、今年公開された映画「終わった人」は“ハートフルコメディ”と銘打たれてますからね。

 「終わった人」が発表された時、正直私は「どうしちまったんだよ中田監督⁉︎」(©️「HiGH&LOW」)と思ったんですけど、「スマホ〜」を見て「ホラーだけが中田監督じゃねえ」(©️「HiGH&LOW」)と思いました。

 試写会で北川さんや中田監督が言っていたように、物語は主人公の麻美(北川さん)と、彼女の恋人・誠(田中さん)の“ラブストーリー”要素が実は結構多かったです。誠がスマホを落としたことで2人は大きくすれ違ってしまうんだけど、彼女・彼氏のピンチにお互いがどう行動するかは、物語を大きく動かすし、見所のひとつかと。

 正直“ラブ”についてはちょ〜っと……いや、結構クサいなというか、古典的だなと思う部分が多かったんですけど、とにかくいろんな要素がある映画なので、このくらいわかりやすい筋書きの方が親切なんだろうなという感想でございます。

 

 とはいえ、やはりここは中田監督。“ホラー”の部分は「さすが」の一言です。夜道をぐる〜っと見回して「誰かいるんじゃないの?」と緊張させるカメラワークとか、足元から這い上がってくるような鈍い音で不安を煽る感じとか、いきなり大音量で鳴る着信音とか、要所要所で心拍数を上げてくれます。

 一方で、犯人を探したり、伏線回収を楽しんだりする“ミステリー”としては、ちょっと物足りないかな〜という印象。ミステリー小説をほとんど読まない私ですら、結構すぐに犯人がわかってしまいました。しかも私の場合、ビジュアルでわかってしまったので、「映像化は難しいな」と思った次第であります。原作ありきの映画化なので、犯人探しにあまり重点を置いてなかった可能性もあるけど、「“謎解き”にはあまり期待せず!」とは言っておきます。

 

 そんで、これはもうしょうがないなと思いつつ、スマホに関わるシーンはかなり説明セリフが多い。たとえば、「こんなアプリがあるよ」とか、「こうすると情報を抜き取られちゃうよ」とか、まるで“優しいスマホ講座”というか、“教材”の趣すらある。

 なんだけど、登場人物の行動やセリフに多少の無茶があろうと、スマホを軸にした映画でスマホのことをおざなりにするわけにもいかないので、「こんな会話するかよ?」などというツッコミは野暮であると言い切りたい。「非常に邦画らしいな」と思いながら、丁寧な説明を真剣に聞くことをオススメします。

 この映画は、「スマホを落とすと最悪こんな怖いことが起こる」「個人情報を粗雑に扱うとマジでヤバイ」という“学び”を得ることが、エンタメ映画として楽しむこと同じぐらい大切な要素として描かれていると感じたので、説明セリフについてのツッコミは、(普段だったら許せないけど)大目に見てほしいなと思う次第であります。

  スマホの怖さをただ並べるだけじゃなく、「きちんと使えば人と人の繋がりを思い出させてくれるツール」として描かれてたのはよかった。そう思わせる展開は、主人公とその彼氏の恋愛によるものが大きいので、やっぱりなんかクサいなと思ってしまうんだけど、いい話にまとめようという熱い心意気はすばらしいと思います。もはやスマホなしでは生きられない現代、「スマホ使うな!」で終わらせるのは無理があるもんね。

 

 最後に、キャスト目当てで見に行っても「ちゃんと楽しめる」ということも言っとく。主演の北川さんはずっとお美しいのだが、鬼気迫る場面や精神的に追い詰められた瞬間の迫真の演技は見モノです。

 特に私が感動したのは、犯人と接触した時、北川さんの腕に鳥肌が立ってたんですよね。「怖い!」「気持ち悪い!」とか言葉で言うのは簡単だけど、あの鳥肌には「この犯人マジでやばいんだな」ということが実感として伝わる説得力があった。なかなか誰にでもできることじゃないと思うので、あの場面は北川さんファンにもぜひ見ていただき、感動の鳥肌を立ててほしいなと思っております。

 

  キュートなイメージがある千葉さんは、新米警察官ながら芯が強く、そしてめっちゃ仕事ができる若者として描かれており、"いつもの千葉雄大”ではなく新鮮でした。成田さんの抜群の存在感もよかった。彼が画面に映ると、別になんもなくても「なんか起こりそう」感がすごくあるんですよね(笑)。ミステリアスな雰囲気を纏った“なにをするかわからない俳優さん”だと感じたので、これからミステリーで見られる機会が増えるといいな〜という気持ちです。

 

 そしてワタクシのお目当てである田中さんですが、とにかく終始“普通の人”(笑)。でも本当いつも思うんだけど、作り物の中で“普通の人”を演じることほど難しいことはないな、と。普通の人がちゃんと普通でいてくれないと、見てる側は物語が全然リアルに見えないじゃないですか。でも、「スマホ〜」は我々の身近にあるモノから始まる怖い話なので、リアリティは絶対必要。立場として見ている人に1番近いだろう富田誠という人物が普通で居続けられるかどうかは、なんだかんだで映画の面白さにも繋がったんじゃないかと(やや贔屓目もありつつ)思いました。

 あと、「ラブシーンは期待しまくって映画館に来てもらっていいですよ!!!!!」と大声で言っておきます。さっきも言ったけど、ちょっとベッタベタすぎて頭が沸騰しそうになる瞬間もあるんですけど、彼女を一途に愛している富田さんは本当にいい人でしたよ……! いろんな問題を抱えている登場人物の中にあって、富田さんは唯一の良心と言ってもいい存在でした。

 自分が蒔いた種とはいえ、終始振り回されてしまうのはちょっと切ない部分もありましたが、個人的には「めちゃくちゃいい役でした、ありがとうございます」とお礼を言いたいです、ありがとうございます!!!!!!!!!! あと、麻美のデータフォルダに入ってた写真売ってください!!!!!!!!!! お願いします!!!!!!!!!! お願いします!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(ちなみに、また脱がされております)(合掌)

 

 ま〜〜〜正直、いろいろツッコミたいところもあるんだけど、でもそれ以上に、「スマホの便利さと恐ろしさは表裏一体である」ということを肝に銘じるために、この映画を見てほしい、いや見るべきだと思います。「スマホ落としたらこんなことになるぞ」と自戒するもよし、パートナーや家族、友だちと一緒に見て「お前、絶対スマホ落とすなよ」とプレッシャーをかけるのもよしです。

 この映画と関係のない人は、今やこの世にはいないはず。ぜひ11月2日は劇場へ行って「スマホを落としただけなのに」を見てください!!!!!