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【テレビ】いい加減認めよう、我々は長門朱里に一番共感してしまうという事実を 「 #獣になれない私たち 」第5話

 見ましたか? 「けもなれ」5話。

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 もうね、“修行”だと思いながらリアルタイムで見てますよ。忠誠心強めのオタクなんでね。しかし、松田龍平さん・田中圭さんという私の2大推しの力をもってしても、本当に見続けるのがしんどい。なんならこのドラマの癒しが近藤公園さんになっている。公園さんは(今のところ)裏切らない。社長と佐久間さんがタメ口でしゃべってた、あのシーンだけが私の宝物。(虚ろな目)

 

 前回のエントリで第2話の感想を書いたんですが、とにかく私は花井京谷という男が無理なんですよ。

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 それと同時に、長門朱里という女が私に憑依してしまい、実はずっと彼女の幸せを願いながら見ている。彼女が彼女なりに幸せな結末を迎えないと、私の幸せも訪れないのだ。頼むぜ野木先生。

 そんな状態なわけだけど、第5話は朱里が憑依してしまった私にとって、死にたくなるほどツライ回でございました。もう一生見たくない。 

 

なにがいやかって、朱里から見て彼氏を取った女が、「仕事ができて、彼氏が頼りにしてる女」ってのが、コンプレックスメッタ刺しすぎて、本当に最悪なんですよ。朱里はなにか理由があって仕事がうまくいかなくて、精神的に参ってしまった。そんな朱里を花井は助けたんだけど、結局花井は仕事をしない朱里の愚痴を言い、仕事ができる女に惚れてしまったと

  2話の感想でこんなことを書いたんだけど、5話の開幕から朱里は晶にむかって、まさに自分のコンプレックスをぶつけたんですよ。

「仕事があって仕事ができて、好きな人に好きって言ってもらえて、お母さんにも気に入られて、なんでもあるじゃん? 私なんて、5年間ずーっとここで、こんなスウェット着て、派遣会社行っても「おまえに紹介する仕事はない」って言われて、京ちゃんにも……京ちゃんにも「おまえと晶は違う」って言われて……。話し相手はゲームとうさぎだけ。あたしうさぎを飼ってもいけないの? なんにもないのに……あなたが持ってるいろんなもの、あたしなんにも持ってない! ……あんたみたいな人、大っ嫌い」

 何度でも言うけれど、花井がなぜ朱里と別れたかというと、晶のことを好きになったからなんですよ。5話のこのシーンでも、朱里ははっきりと「京ちゃんは、あなたと付き合うから、だから別れてくれってあたしに言ったの」って、別れた理由を語ってた。晶は「朱里さえいなければ」と思ってるかもしれないけど、もとはといえば、晶という存在が、朱里と花井を別れさせてるんですよ。これ、絶対忘れないでね本当に。朱里が乗り移った女からのお願いです。

 あとこれも忘れないでほしいんだけど、花井は朱里と付き合っているとき、仕事で精神をやられてしまったらしい朱里に「仕事辞めてうちにくれば? 新しい仕事はゆっくり探せばいいし」的なことを言って、自分が買ったマンションに住まわせたんですよ。それなのに、「晶のこと好きになっちゃったから別れて!」「晶が嫌がってるから家出てって!」「早く仕事探して!」挙げ句の果てに、5話では「愛せなくてごめん」ですよ。

ちょっとタンマ、死にたくなるから一回落ち着こ?

 

 確かに晶は、会社ではパワハラにあい、同僚や部下の仕事を押し付けられ、長く付き合っている恋人はいるが結婚に踏み切れず、彼女は彼女なりにつらいことを数えきれないほど抱えてる。だけど、仕事があって、恋人がいて、愚痴を言える憩いの場があって、着たい洋服が着られて、自分の親はいなくても彼氏の親に気に入られている。

 社会的に見れば、朱里よりも晶のほうが圧倒的に恵まれているのは明白で、きっとなにも知らない人が見たら、ニートで元彼の家に住み着いてる朱里が悪いと思われるに決まってる。じゃあ朱里は、そんな自分の立場をわかっていない、ふてぶてしい女なのかというかと言えばそうじゃないはずで、自分が「なにも持ってない」ことを認めてる、すごく自分のことをわかってる女だと思うんです、むしろ。

 要するに朱里は、著しく“自己肯定感”が低い女なんですよ。晶は感情をストレートに伝えられる朱里のことを「うらやましい」なんて言ってたけど、自己肯定感の低い人間ってのは、自分より上にいると思っている相手からこういうことを言われるのが、この世で一番嫌なんですよ。自分が持ってないものをすべて持っている相手から「君の方が私より優れているよ」と言われたところで、「ご機嫌取りしてんじゃねーよ」と思われるのが関の山。自己肯定感が低い人間は、自分を自分で認められるようにならないと、人のことも認めることができないんです。朱里は花井と付き合っている間、自分を好いてくれる人のそばで、きっと自分のことも受け入れられていたはずなんですよ。それなのに今、その存在は自分が一番嫌いな、いや、自分が一番なりたい理想像のそばにいる。あまりにも残酷でしょう?

 

 今回5話を見て私は、朱里はまだ花井のことが好きなんだな、と思ってしまったんですわ。別れてから5年間、一緒に暮らしていたらもしかしたら花井の気持ちが自分に戻ってくるかもしれない、晶と別れて昔みたいに楽しく暮らせるかもしれない、また花井が自分のことを好きになってくれるかもしれない。「別の女を好きになったから別れてほしい」と言われて引き下がった朱里が、そのくらい願ってたっていいじゃないですか。

 でも、どんなに待ってもその時は来ず、「愛せなくてごめん」という言葉と、心の拠り所だったゲームとともに、朱里の希望は消えてしまった。「終わっちゃった」という一言に、そんなことを感じてしまった第5話、私は今死にそうです。

 

 “謎の女”として登場した朱里は、そのぶっ飛んだ言動から「もっとも共感できない登場人物」として、「こんなやついるのか?」と思わせる大きな異物として存在していた。だけど、朱里みたいに「自分はなにも持ってない」と思いながら生きている人間は本当は腐るほどいるはずで、私もその1人で、だから彼女が憑依してしまう。

 きっと誰もが誰かを羨んでいて、思い通りにならないことを人のせいにして、他人の人生より自分の人生がくすんで見える瞬間があるはず。一歩踏み外せば長門朱里になる可能性を秘めているのに、それを認めたくない。だって彼女はなにも持っていないから。そんな人間になるかもしれないなんて、考えたくないから。だけど私たちは、そろそろ認めなければならない。長門朱里はドラマの中の人物ではなく、自分のすぐそばにある“影”であることを。

 

 

 

 朱里ちゃんのことを考えると本当にずっと気持ちが沈んでしまうので、発散するためにここで花井の悪口を言いますね。花井“サンドバッグ”京谷。

・家出て行く時、「俺フラれるかもしれない」ってなんで言ったの? あんた、朱里ちゃんがまだ自分のこと好きだって思った上で言ってる? だったら一回殴らせて? 自覚なしに言ってたらIQ2ぐらいだから社会に出てこないで?

・「ウィークリーマンションに行く」っていったあと、すぐに晶に「家にいる?」ってメール送ったのなんで? 晶の家に行こうとしたんだったらマジでクズだから一回殴らせて? もしかして晶が断れないことわかって言ってた? お願いだから新しく買った目薬が思いの外「キーン!」とするやつで涙止まらなくなって?

 

 あとさあ、5話で一番腹が立ったとこ言っていい? 雨の中、花井の家の下で晶と花井がすれ違うシーンあるじゃん? あの演出なに? 「え〜ん! 切ないよ〜!」「初めてキスした時の雨とは正反対だよ〜!」とか言えばええんか? なあ?

すまんな、1ミリも思わんかったわそんなこと。2人ともビッチャビチャの靴下で家のフローリング濡らして絶望しろ。

 

 うすうす感じてたけど、私、けもなれの視聴者に向いてないな。