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【映画】2020年アカデミー賞雑感と、邦画について思うこと

ポンちゃんホンマおめでとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 「パラサイト」「フォード vs フェラーリ」「ジョジョラビット」「ジョーカー」までは見てて、個人的には「パラサイト」「ジョジョラビット」を推してたんだけど、いや〜まさか作品賞までとっちまうとは思わなかったよ、本当にめでたい。「1917」「スキャンダル」あたりはこれから公開なので、めっちゃ楽しみっすね。

 アカデミー賞にも多様性が求められていて、受賞者からもそんな話がたくさん出てるけど、一つ言っておきたいのは、「パラサイト」は“アジア映画だから”賞とったわけじゃないですよ、見りゃわかるけど。純粋に作品の完成度が高いし、「映画っておもしろい」と素直に感じられる傑作なので、きちんと作品を横に並べた上での結果だと思います。てか、そうじゃないならオスカーに価値なんてないわけだけど。

 個人的には、あんまり多様性を強調し過ぎると、こういうときに「アジア映画だからね〜」とか「女性監督だからね〜」と見られそうなので、かなり慎重にいきたい派。もちろん「お前ら本当に映画見てんのかよ?」と怒ってはいるけど、“多様性お情け受賞”みたいになったら、それこそ腹が立つのでね。そんな情けをかけてもらわずとも、今回は文句なしで「パラサイト」だと思いますよ、ええ。ハリウッドだけが映画じゃないってのは、今年に始まったことじゃねーんだからな!

 ということで、「『パラサイト』はちゃんと作品が素晴らしいから評価されたんじゃボケェ!!!!!」としつこく言っていきますよ。見ようかどうか迷っているなら、絶対に見た方がいいです。紹介します、これが「映画」です。


『パラサイト 半地下の家族』90秒予告

 

 あとは「ジョジョラビット」ね〜! これは個人的に超大好きですねえ〜。


『ジョジョ・ラビット』日本版予告映像

 とにかくヨーキーきゅん(主人公の親友でメガネの男の子)がかわいいし、サムロックウェルが永久に最高なのはもう誰が見てもわかると思うんですけど、「戦争」とか「独裁政治」とか「差別」とか、そういう重〜く暗〜くやろうと思えばどこまでも果てしなくできちゃうテーマを、子どもの目線で捉えることによって、見事なエンタメとして昇華したことがすげえなと思う。これは「貧困」「格差」をエンタメにした「パラサイト」もしかり。

 “社会派”を装った自己満お説教映画って、たまにあるじゃないですか? でも、「何がダメだと思ってんのか」を架空の人物やその生活に落とし込んで、目の前にある世界と地続きに感じさせるって、生身の人間が演じる創作物だからこそできる取り組みだと思うんですよね。お説教するだけなら、言葉でやればいいじゃんって話だし。押し付けにならず余白を残した状態で、見た人にメッセージを託して考えさせるってのも、映画の大事な役割じゃねーかな……とか。この二作について私は、その点がズバ抜けてうまかったという感想を持っています。

 「パラサイト」はオスカー効果でまだ上映続くだろうが、「ジョジョラビット」(と「フォード vs フェラーリ」)はすでに回数減ってるので、まだの方はお急ぎくださいませ〜。

 

 そんでよ、「パラサイト」で韓国映画が注目されたわけだが、勘違いしちゃいけないのは、韓国映画はずっと前から面白かったってことね。つっても、私が見始めたのはここ5〜6年、「新しき世界」のころからなので、そんなに昔から知ってるわけじゃないけど。「パラサイトすげー!」「ポンジュノすげー!」はもちろんだが、本音としては「気づくのおせーんだよ!!!!!」ですよ。もっと前から国際的に評価されるべき映画いっぱいあったでしょ!?!?!?!? というね。

 つーわけで、「パラサイト」から韓国映画に興味を持ったあなたのために、激浅クソミーハーことワタクシが、近年の韓国映画を超絶ざっくりおすすめすっぞ。

 

 ……と思ってしばらく書いてたんだけど、紹介したいの多すぎて全然書き終わらないので、今回のエントリーではやらん。そのうち更新する、多分。

 

 韓国映画がオスカーとったってことで、「邦画はなんでダメなのか」みたいな議論が盛り上がってるみたいだけど、まじで今さらすぎて(笑)って感じよね〜。そもそもの話、映画に「勝ち負け」というものはないので、今回の結果を受けて「邦画が負けてる」と考えるのがまずおかしいっすよね。この状態でも商売成り立ってんだから、別に(どうでも)いいんじゃないですか?

 それに、邦画はクオリティで勝負しようという気がそもそもないと思いますよ。真剣に「オスカーとったるぞ!」って思ってる日本の映画関係者なんて、今どこにもいないでしょ。いたら福田○一みたいな監督がもてはやされるわけないと思いますけど(Twitterでも散々言った)。

 

 私ははっきり言って、シネコンで上映されてるような邦画には、クオリティなど一切求めてません。なぜなら見ないからです。今、日本の映画界がターゲットにしている層にも、「力を入れて取り組むべき」とされる作風にも、1ミリもかすってないので、そりゃ見ないっすよ。こちとら消費者なんで、見ないもんはどうでもいいです。

 ただ、現状の興行収入ランキングでは、私が見ない作品ばっかり上位に上がっているので、そういう映画を見てくれる人にはとても感謝しています。私の代わりに見てくれてありがとう! あなた方のおかげで映画館があり、私が見たい映画を見ることができます! だからこれからもたくさん邦画を見てね!!! ……と、本気で心から思ってる。私の代わりに福○雄一を見てくれて、本当にありがとう。

 何が言いたいかというと、邦画(特にシネコン系)はもう「クオリティを上げて客に見てもらう」というビジネスモデルになってないって話。監督の名前、役者の人気、ドラマの続き、売れた漫画原作、そういう基準で映画をつくってもヒットするんだから、創作に労力をかけるのがバカバカしくなるでしょ。小手先で映画をつくって金を稼ぐ方向性を選び、実際それがある程度成功してるんだから、邦画に韓国映画的クオリティを求める理由がなくないですか?

 

 あと、「邦画は金がないからいいものができない」ってのは半分あってて半分間違ってると思います。たしかに、全体で見れば映画にかける金は非常に少ないんだと思うけど、「金がない」かといったらそうじゃないですよね? だって○田雄一とか、よくわかんねーお涙頂戴映画とか、どれも同じに見える学生胸キュン映画とかつくる金はあるんですよ。だから、「どこに金つかうか」の問題であって、邦画はこういう映画に金つかう選択をしてるってだけの話じゃないですかね。

 今の状況で潤沢な資金を得たところで、福田雄○が愉快な仲間たちを100人集めて、カスみてーなCGを乱用した「ワンピース」の実写映画つくるだけだと思いますけど。しかもそれが大ヒットする世界なんじゃないですかね、今のジャパンは。

 

 もう一度言うけど、私は現状何も困ってないので、邦画がクソ面白くなかろうが、海外の映画賞にガンスルーされようが、まじでどうでもいいです。消費者なので。ただ、こういう状況に憂いてる方がいるなら、クソをクソだと言う以上に、素晴らしい作品を正当に評価する土壌をつくることが大事なんじゃないでしょうか。

 映画って限りなく商業的な芸術なので、どんな傑作でも売れないとダメ。視聴率と同じで、見てる人がどんなに面白いと言っていても、スポンサーで成り立ってる以上、たくさんの人が見てくれないドラマに商業的価値はないんですよ。だから、「売れる映画」をつくるってのは当たり前の話で、アニメ映画や漫画実写化、アイドル映画を否定するのは相当ずれてますね。仕方ないじゃん、それが売れちゃうんだから。

 だったら、良作を売れる映画にすればいいんじゃないですか。「カメラを止めるな!」がまさにその例で、本当に面白くて画期的な映画は、多くの人がきちんと評価して商業的にも成功するわけです。反対に、「ヒメアノ〜ル」や「来る」みたいな激アツ邦画を「アイドル映画」つって避けてるなら、それはもう最悪中の最悪ですね。クソをクソというのは誰でもできるけど、いいものをいいというのは、映画が好きな人だからできることだと思います。

 

 「パラサイト」の受賞スピーチで、プロデューサーが「観客の率直な意見が韓国映画をここまで押し上げた」的なことを言ってましたけど、ほんまコレ。邦画をオワコンにしたのは、金がないからでも、アニメばっかりだからでも、アイドルが出てるからでもなく、「観客がいい映画を求めてないから」に尽きると思います。

 まずは私たち観客が、福田雄一にデカい顔させてる日本映画界をつくったことを反省し、真摯に受け止めて、こいつの息の根を止めることが第一歩なんじゃないですかね。

 

 

【追記】

 私は「邦画が嫌い」なわけじゃなく、「福田雄一にデカい顔させてる日本映画界がクソ」だと思っております。ということで、以下、好きな邦画を羅列します。ご精査ください。

 

・「青い春」


青い春 予告編

※公式の予告がない……ご了承ください。

 人生映画その1。新井浩文に怒りはあっても、青木を演じられるのはあんたしかいないよ。豊田監督なら「ナイン・ソウルズ」も好きです。

 

・「ゆれる」


ゆれる(プレビュー)

 人生映画その2。私はこの映画が大好きなので、真木よう子のことをあまり叩けないでいる。西川監督なら「ディア・ドクター」「永い言い訳」も好き。

 

・「ソナチネ


映画「ソナチネ」劇場予告

※これも公式がない……残しといてくれよ〜!

 人生映画その3。北野武の最高傑作はこれ。異論は認めるかもしれないので、ほかにおすすめあったら教えてください。

 

・「葛城事件」


映画『葛城事件』予告編

 無差別殺人事件を起こした加害者家族の話。もうちょっと頑張れば、クッソ暗い「パラサイト」になれたかもしれない(家族映画的な意味で)。最近の邦画じゃ珍しく、実際の事件を“想起”させるテーマで、リアルな社会問題を映画に落とし込んでるので、その辺もぜひ評価してほしい。赤堀監督なら「その夜の侍」で雨の中「こんばんわ!」ってあいさつするシーンが好き。

 

・「凶悪」


映画『凶悪』予告編

 個人的には「冷たい熱帯魚」より「凶悪」派ですね。並べるもんなのかわからんけど。役者の好演に救われてる部分が多いけど、何よりも池脇千鶴の素晴らしさを見てくれ。

 

・「顔」


Kao (Face) 「顔」 - Trailer 予告編

※これも(以下略)

 女性と社会について真剣に考える今だからこそ、深く考えずに見たい映画。主人公の事情は深刻だが、中年女性の大冒険はなんか笑えるし心が温まる。藤山直美は名女優。

 

・「アイアムアヒーロー


映画「アイアムアヒーロー」DVD&Blu-ray 2016年11月2日発売

 日本にだって最高なゾンビ映画はある!!! ……のだが、ゾンビの特殊メイクは韓国のスタッフと共同制作、ロケ地も日本じゃ撮影不可能だったため、大部分を韓国で行ってるという裏事情。そのおかげで、これまで見たことがないリアルなグロ表現が満ち満ちていて、めっちゃいい映画になってるという切なさよ。この頃にはもうはっきり韓国映画と差がついてたって話でございます。

 

・「ヒメアノ〜ル


ヒメアノ~ル PV

 私は「ジョーカー」より断然「ヒメアノ〜ル」派です。これは並べていいと思う。この映画を「アイドル映画」つって見ない奴とは口を聞きたくありません。

 

 振り返ると、2016年ぐらいまでは邦画を積極的に見てたっぽい。面白かったもんなあ〜。2017年以降、ここに並べたテイストの映画があったら、何かしらの方法で教えてください。